ライター 横山ミホ
アウトドア初心者の私は、みちくさツアーに参加することが決まった時、某アウトドアショップで、店員さんに1時間程付き合ってもらい、全身のギアを揃えることから始めた。
リュックは山歩きを趣味にしていた父の物を拝借した。
店員さんが「トレッキングシューズは試し履きしておいた方がいいですよ」と教えて下さったので、自宅から車で30分程の小さな山へ行ってみた。駐車場から10分歩くと展望台がある。桜の花びらが舞う展望台でおにぎりを食べながら360度ぐるりと見渡すと、雲がたなびく山と、空と海が溶けそうな青が見えた。展望台から降り、横道をほんの少し降り、そこに咲いている小さな花を見つけた。花の名前は分からなかったが私は初めてのトレッキングに花丸をつけた。
20分程度歩いただけで満足してしまう私が、この道十数年のプロガイド、佐藤みずき君に惚れてしまうのは当然のことであろう。
疑問に思ったことを聞くと、さっと答えてくれる頼りがいのある賢いみずき君。
明日釣行ツアーに参加するお客さんのために、今日魚の様子を見に行って来るという真面目なみずき君。
こんなにも気持ちの優しいガイドさんは日本全国探してもなかなかいないのではと思う。
私がみずき君を押す理由は5つある。
1つ目は、アウトドアの基本的な知識、技術、テクニック、マナーを教えてくれること。都会育ちのあなたは、きっと山菜の採り方を知らないのではないだろうか。(私は静岡の田舎者だが、山菜の見分け方も、採り方も知らなった)間違えやすい山菜の見分け方、親指の腹と人差し指の腹でぎゅっと押す採り方を教えてもらった。また、みずき君が先頭に立って歩いてくれるので、どこに足を置いたらいいのか迷う場所でも後ろについて歩けば安心であった。みずき君が常に、安全で快適なトレッキングができるように気を配ってくれる。
2つ目は、みずき君が車でホテルの前まで送迎してくれること。レンタカーで慣れない道を走るのは不安だし、運転する人に負担がかかってしまう。運転は好きな方だが、たくさん歩いた後に運転してホテルに帰るのかと思うと、げんなりしてしまうのは私だけではないはずだ。みずき君が安全運転してくれるから、後部座席でゆったりと景色を見ながらお友達とおしゃべりを楽しむことができる。もし旅の疲れが出たのなら仮眠してもOKというのが安心できる。
3つ目は、初心者の私の歩みを見て、休憩をくれたこと。飲み水がなくなりそうな時、新鮮な水をペットボトルに継ぎ足してくれた。何も言わなくても阿吽の呼吸ですっとサービスができるみずき君なのである。
さりげないので分かりにくいかもしれないが、あなたが疲れを感じた時、みずき君は必ず立ち止まって木や草の説明をしてくれると思う。これぞ理想的な「みちくさ」である。疲れが癒されて、新しい発見や感動を求めてまた歩き出すことができる。ちょこちょこ道草が食えたので、普段歩かない私も疲れが出ることなく、一日楽しめたのではないかと思う。
4つ目は、北海道ならではのお店を案内してくれ、希望があれば寄ってくれること。
セイコーマート、ジェラート屋さん、温泉、と、お客さんのニーズに合わせてくれる。
欲張りな私は全部立ち寄らせてもらったが、全てにおいて満足であった。
セイコーマートでは朝ごはんとお土産を、ジェラート屋さんではみずき君おススメの「日本酒ジェラート」を、老舗温泉ではあたたかいお湯で歩き疲れた体を十分に癒すことができた。
北海道にしか売っていない、鯖マヨおにぎり(今回は丁度売り切れていたので、すじこおにぎりを購入した)山葵ポテチ(軽くて安くてお土産にぴったりだった)などを教えてもらえた。
5つ目は、ランチを手作りしてくれること。今回は春のツアーだったので採りたての山菜を使ったジンギスカンだったが、夏と秋はきのこや木の実、冬はワカサギなど、工夫を凝らしてくれる。(もしお目当てのものが手に入らなくても、きっと何かしらのおもてなしをしてくれるであろう。)ランチができあがるまで各々休憩できるし、料理の手際の良さを観察することもできる。採ったばかりの山菜を食べる喜びといったら! 青い空、木々を渡る風、野鳥の声に耳を傾けながら食べるランチは最高に美味であった。
推す理由を5つに絞ってみたが、みずき君のさりげない気配りや、豊富な知識、ゲストをおもてなししたいというサービス精神はきっともっとたくさんある。
今度はあなたが「みずき君を推す理由」を見つける番。
では、よい「みちくさ」を!
横山ミホ
(初めて北海道の野山を歩いた主婦ライター)